一般貨物自動車運送事業を開業しようとする際の許可要件に
開業資金の計算があります。
人件費、車両費、各種保険料など所定の項目について計算し
その合計額が開業資金となります。
要件としては、「開業資金」<「自己資金」となるような
一定額を自己資金として確保しておかなければなりません。
※令和1年11月1日より許可基準が厳しくなり開業資金の要件のハードルがさらに上がりました。
自己資金はいくら必要?
自己資金額は、その事業主の申請状況によって異なりますが
当事務所の経験上、概ね1500万円~2500万円程度が必要となります。(※令和1年11月1日改正基準による計算)
随分と金額に幅がありますが、申請の車両の状態や、営業所及び車庫の状況により
金額が大きく変わってきます。
資金が潤沢にある事業主の方は結構ですが、
当事務所では、できるだけ自己資金を押さえられるような
無駄のない事業計画のご提案もしております。
一定期間確保しなければいけない自己資金
開業資金の計算後、資金の要件を満たしていることを証明するため
銀行の残高証明書によって自己資金を運輸局へ示します。
残高証明書は、申請時点の申請書とともに添付する1回目と
概ね法令試験後に2回目の残高証明を求められることになります。
ここで注意点ですが、この自己資金は申請から許可が下りるまでの間
1日も下回ることのないよう常時確保しておかなければなりません。
申請から許可が下りるまでの期間は、書類のミスなどなく
スムーズに審査されたとして3ヶ月程度の期間を要します。
そのため、以下の点に注意して申請準備する必要があります。
1.開業資金=自己資金の場合
開業資金の計算ミスなどにより、審査過程において開業資金額が上がる可能性があります。
※令和1年11月1日より
事業の継続遂行のための資金計算に要する項目の計上が必要な期間が延長されましたので
従前の計算式だと資金ショートになる可能性が十分に考えられます。
自己資金は開業資金以上であればOKですので、少し多めの額を見込んだ自己資金を用意するようにしましょう。
もし、計算ミスで開業資金額が計画より上がり、示した残高証明を超えてしまった場合は
申請日以前にさかのぼって他に預金がある場合以外は許可が下りません。
2.自己資金に当座預金及び普通預金を予定している場合
一般的に事業で使う預金残高は、申請から許可までの数か月の間に金額変動があります。
運輸局で審査される自己資金額は、その期間中の最低金額で判断されます。
つまり申請時点で十分な預金があったとしても
許可が下りるまでの事業取引で気が付かない間に引落としなどがあり
資金ショートしてしまった場合には許可がおりません。
なので、申請する預金通帳は変動額の少ない口座で申請することが良いでしょう。
定期預金など金額の変動することがない預金を確保しておくことをお勧めします。
3.途中で口座の解約をしてしまった場合
申請途中に、審査されている口座を解約するなんてことはないと思いますが
口座を解約したその時点で自己資金を常時確保していないことになります。
ただし、同一日付において別口座へ移す場合は認められるケースもあるようです。
申請中の口座は手を付けることがないよう注意しましょう。
まとめ
他の申請書類や条件が満たしていたとしても
上記1から3のような自己資金不足となるケースの場合には許可が下りません。
資金計算の書類の不備や計算ミスが発覚するとその補正のために審査期間が延長されてしまいます。
自己資金の確保しておく審査期間を短くするためにも
運送業専門の行政書士へ書類作成をご依頼ください。