一般貨物自動車運送事業(「一般貨物」「運送業」「緑ナンバー」という呼び方もあります)の仕事をはじめたい方は、営業所を管轄する運輸局へ申請し
国土交通大臣または地方運輸局長の「許可」をもらわなければいけません。
「許可」取得のためにどのような要件があるのか
チェックしてみましょう。
※令和1年11月1日申請分より許可要件が変更となりました。
新規許可の要件の概要
運送業を新規開業をしたい場合には
大きく分けて「資金」、「施設」、「人」の3つの要件を
クリアーする必要があります。
「資金」の要件
運送業を始めるにあたっては、一定額の「開業資金」を確保していなければなりません。
開業資金として計上しなければならない項目は決められており
項目により6ヶ月から12ヶ月ほどの資金を
また税金、保険関係は1年間の資金計画の計算しなければなりません。
例えば、「人件費」の項目は、運送業に携わる人員の給与、手当、賞与、保険料等福利厚生費など6ヶ月分を計上する必要があります。
同様に、おおよその項目を下に記載しております。
◎燃料費・・・6か月分
◎油脂費・・・6か月分
◎修繕費・・・6か月分(外注、自家修繕費・部品費、タイヤ・チューブ費)
◎車両費・・・12ヶ月分(購入費、リース料)
◎施設利用料・・・12ヶ月分(土地建物の購入費または賃借料)
◎自動車税・自動車重量税・自賠責保険・・・1年分
◎任意保険・・・1年分(対人無制限、対物200万円以上、危険物輸送は対象保険1億円以上)
◎登録免許税・・・12万円
◎その他
さて、この開業資金を計算して終わりではありません。
この開業資金を上回る「自己資金」があることが必要です。
「開業資金」<「自己資金」
自己資金は、銀行の「残高証明」によって確認されます。
また、さらに重要なポイントですが、
この自己資金の残高証明書は、運輸局へ申請する書類の「申請時点」と「適時」(概ね許可決裁が下りるころ)の
2回運輸局へ提出し、その申請期間中、1円たりとも開業資金が欠いていないことを
示さなければいけません。
許可申請の下りる審査期間は3-4か月程度なので
その間資金を使わずずっと確保しておかなければなりません。
もし、たった1円でも資金ショートしていれば許可は下りません。
「自己資金」を一定期間確保しなければいけない!
もしも申請書類に「不備」があれば、書類の「補正」が必要で
その補正の期間分審査期間は延長されるので資金を確保する一定期間も長くなるということです。
資金繰りが大変な開業時、スムーズな手続きをするためにも
申請書類作成には細心の注意が必要となります。
書類不備で時間を無駄にしてしまわないように
運送業専門の当行政書士事務所へご相談ください。
この計算は、運送業に携わっていない方には計算が非常に難しく
その他運送業の許可要件は専門性が高いため
一般的な行政書士では対応できないことが多いようです。
当事務所は、開業以来多くの新規許可申請実績を持っており法令知識も豊富ですので、
お客様の申請要件に合った開業資金計画の作成をすることができます。
どうぞ安心してご相談ください。
「施設」の要件
運送事業を経営するためには、「営業所」や「車庫」、「車両」などが必要となります。
建物や駐車スペースがあれば何でもよいというわけではありません。
各種関係法令に違反する建物や場所では許可が下りません。
建物や車庫などを契約する前に必ず確認しておかなければ
運送業許可が下りず、使えない土地・建物の無駄な解約手数料が発生した・・・
なんてこともあるかもしれません。
営業所
- 適切な規模を有すること
- 施設が都市計画法等関係法令に抵触していないこと
- 使用権権原を有すること(概ね2年以上)
営業所の場所選びで一番抵触しやすい法令が「都市計画法」です。
「市街化調整区域」と呼ばれる区域内には建物を建てることが制限されています。
車庫の敷地内にプレハブ事務所を設置しようと計画される方が多いですが
「市街化調整区域」であればプレハブの設置は不可であり許可は下りません。
では、既に建っている建物の一室を営業所として申請できるか?に関しても
「用途地域」による制限がある可能性があるため注意が必要です。
営業所における必要な備品の備付を写真で確認します。
営業するうえで必要となる備品として、
例えば
デスク、椅子、パソコン、コピー機などが
一般的なものと考えられます。
ただし、事業者ごとに必要となる備品類は異なってくるので
個別の判断となります。
休憩・睡眠施設
- 原則として、営業所または車庫に併設されていること
- 睡眠を与える必要がある場合は、睡眠者1人当たり2.5㎡以上を有すること
- 施設が都市計画法等関係法令に抵触していないこと
- 使用権権原を有すること(概ね2年以上)
「休憩・睡眠施設」も「営業所」同様に「都市計画法」に
抵触していないか?注意が必要です。
睡眠が必要となる運行体制であれば、睡眠施設も用意しなければなりません。
休憩・睡眠施設における必要な備品の備付を写真で確認します。
運転者が休憩・睡眠するうえで必要となる備品として、
例えば
ソファー、布団、ベッドなどが
一般的なものと考えられます。
ただし、事業者ごとに必要となる備品類は異なってくるので
個別の判断となります。
施設が建設中などの場合で写真が貼付できない場合には
設備が整った後に確認を行うこととなります。
自動車車庫
- 原則として、営業所に併設(併設できない場合は営業所との距離直線5km以内)
- 車両がすべて収容できること
- 施設が都市計画法等関係法令に抵触していないこと
- 使用権原を有すること(概ね2年以上)
車庫に関しても建物同様に「都市計画法」に縛られています。
車庫は原則として営業所に併設していなければなりません。
しかし、車両台数が多い営業所などでは、営業所のそばに十分な車庫を確保できないこともあります。
そのようなときは、営業所と車庫の直線距離が5km以内であれば許可が下ります。
車庫前面道路の道路幅員
- 原則として、車輌制限令に適合していること
- 道路管理者の幅員証明によること
とても良い立地の「車庫」が確保できたとしても契約する前に注意が必要です。
車庫前面の道路が一定の幅が確保されていないと許可が下りません。
この一定の道路幅は使用する車両と、その道路の種類によって異なります。
また、この駐車スペースは他の用途と明確に区分される必要があるため
駐車スペースの一部に資材置場を兼用している場合などは
その部分の面積は車庫から省かなければなりません。
車輌
- 原則として、最低5両以上(特例:零きゅう、廃棄物、島しょ)
- 車輌の大きさ、構造等は輸送する貨物に対して適切なものであること
- 使用権原を有すること(リース車両の場合はおおむね1年以上のリース契約必要)
車両は運搬する貨物に適したものが必要です。
台数は5台以上必要となります。
ただし、特例として霊きゅう車限定で運送事業を始められる方、
島しょ部で運送業を始められる方は1台から運送業を開始することができます。
この車両5台の確保が高いハードルとなります。
よくある質問ですが、この車両の中に「軽自動車」は含んではいけません。
「人」の要件
運送業を始めるためには、一定数の資格者を確保していなければなりません。
この中で、「運行管理者」は「運転者」と兼務できないことに注意しておきましょう。
役員
- 常勤役員⇒法令試験に合格すること
- 全員⇒欠格要件(法第5条各号)のいずれにも該当しないこと
- 申請者と密接な関係にあるもの⇒欠格要件(法第5条各号)のいずれにも該当しないこと
法人であれば、運送事業に専属で携わる常勤の役員が、個人であれば申請者本人が
運送業に関する法令試験を受験し合格しなければなりません。
当事務所では、この法令試験対策の学習教材を用意しております。
この学習教材で学習された方は今まで全員合格されています。
密接な関係にあるものとは
申請法人の事業を実質的に支配すると考えられる株主、出資者などが該当します。
役員法令試験の概要
(1)出題の範囲(以下の法令等については、法令試験の実施日において施行されている内 容から出題する。)
①貨物物自動車運送事業法
②貨物自動車運送事業法施行規則
③貨物自動車運送事業輸送安全規則
④貨物自動車運送事業報告規則
⑤自動車事故報告規則
⑥道路運送法
⑦道路運送車両法
⑧道路交通法
⑨安全労働基準法
⑩自動車運転者の労働時間等の改善のための基準
平成元年2月9日労働省告示第7号
⑪労働安全衛生法
⑫私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律
⑬下請代金支払遅延等防止法
(2)設問方式
○×方式及び語群選択方式とする。
(3)出題数
30問
(4)合格基準
正解率8割以上を合格とする。
(5)試験時間
50分とする。
運行管理者
- 運行管理者資格試験の合格者など
- 営業所に常勤
「運行管理者」は運送事業を始めるにあたり必須の資格者です。
運転者に対し点呼や、適正な運行計画など輸送の安全の確保をするための責任者にあたります。
この資格取得のためには、国家資格に合格することが近道ですが
昨今試験の難易度が高くなっているため十分な学習時間の確保が必要です。
どうしても試験に合格することができない場合は、
資格者を雇用することを計画しましょう。
この運行管理者は、基本的に営業所に常駐し
運転者に対し指示等をする立場であるため
運転者と兼任することはできません。
整備管理者
- 営業所に常勤
- 資格者
整備管理者の資格要件は、以下のいずれかのものです。
(1)自動車整備士技能検定3 級以上に合格したもの
(2)2年以上の実務経験を有し、且つ、選任前研修を修了したもの
整備管理者は、運転者との兼務が可能です。
運転者
車両台数に対して十分な人数の運転者を確保していなければなりません。
最低車両数5台であれば、運転者も5人以上必要となります。
最近では全国的にドライバー不足となっていますので
こちらの準備も必須です。
以上まとめると
運送業を始めるために必要な最低人数は6人
「整備管理者」1人+「運転者」5人
うち「役員」「整備管理者」はいずれかと兼任可能
その他
適切な運行管理体制が計画されていること
申請書類の中で「運行管理体制」という書類があります。
運転者には「拘束時間」「連続運転時間」など法定された時間以内で
雇用されていなければなりません。
申請書類のなかでもこの書類作成は難しく
運行管理者以上の知識がなければ作成することができません。
社会保険など加入すること
運送業社として各種社会保険などに加入する義務があります。
各種保険の加入状況を運送事業の開始前に確認がなされます。
この保険加入がないとせっかく許可がありても
事業を開始することができません。
まとめ
運送事業を新しく開業したい方の許可要件をざっくりとまとめましたが
いかがでしょうか?
様々な要件がありご自身で許可申請の書類作成をするのは
ハードルが高いと感じられる方が多いのではないでしょうか?
当事務所をご依頼いただいた方の大多数が
「自分で書類作成は難しい」、「よくわからない」、「効率が悪い」、
「書類があっているかわからない」、「専門家に任せたほうが安心だ」と
ご自身の計画途中からご相談いただいております。
運送業の許可申請書類作成は
申請実績が豊富な「行政書士笠井たいよう事務所」へお任せください。